中国政府が打ち出している景気刺激策は、内需拡大と年間経済成長目標の達成を目的としていることが明らかになった。中国財政省の廖岷(りょうみん)次官は、米ワシントンで行われた国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会において、これに関連する政策の狙いや背景を語った。
廖次官は、「内需を拡大し、国内総生産(GDP)の年間成長目標を達成するため、マクロ経済政策を強化する」と述べ、中国経済の再活性化に向けた大規模な景気刺激策の必要性を強調した。また、特に消費を含めた内需の喚起が重要な課題であり、これを達成するために金融政策との連携が求められていると指摘した。
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財政政策の詳細は全人代常務委員会終了後に発表
廖次官はさらに、今回の景気刺激策の具体的な内容について、11月4日から8日にかけて開催される全国人民代表大会(全人代)常務委員会の会合終了後に発表される見通しであることを明かした。彼は、中国の財政政策が法的手続きを必要とするため、その発表には一定の手順が伴うことを強調し、各国の代表団に対してもこの点を明確に伝えた。
大規模な景気刺激策への期待
今回の政策について廖次官は、「非常に大規模なものになる」との見通しを示し、中国経済の立て直しに向けて、これまでに表明されてきた考え方をあらためて確認した。これにより、国内外の投資家は、中国政府が景気回復に向けた大規模な財政政策を発表することを期待している。
具体的には、景気刺激策は主に消費促進やインフラ投資の拡大など、内需の喚起を狙った施策が中心となるとみられている。また、これらの施策に加え、金融政策との協調が図られる見通しで、消費者信頼感の回復や民間投資の活性化が重要な要素として位置づけられている。
年間GDP成長目標と内需拡大の課題
中国政府は、2024年の年間GDP成長目標を約5%と設定しているが、これを達成するためには、内需の拡大が不可欠であるとされている。中国経済は、これまで輸出に大きく依存してきたが、世界経済の減速や米中間の貿易摩擦などの影響を受け、輸出依存から脱却するための構造改革が急務となっている。
そのため、消費促進や都市部を中心としたインフラ投資の拡大、さらには民間セクターの投資拡大を図る政策が重要な役割を果たすことが期待されている。特に、中国国内の消費者信頼感の回復が経済成長の鍵となるとみられており、これに対する具体的な施策の詳細が注目されている。
国際社会の関心と中国政府の対応
中国政府の景気刺激策に対する国際的な関心も高まっており、IMFや世界銀行などの国際機関も中国の経済政策に注目している。廖次官は、国際社会に対して中国の政策が法的手続きを経て策定されることを説明し、中国政府の政策決定プロセスに対する透明性を強調した。
一方で、米中間の経済関係も注目される中、今回のIMF・世界銀行年次総会では、両国の経済政策に関する協議も行われた。アメリカ財務省のジャネット・イエレン長官が主導する米中経済・金融作業部会が開催され、経済協力の可能性や貿易摩擦に関する議論が進められた模様だ。
まとめ
中国政府が打ち出す景気刺激策は、内需拡大と年間GDP成長目標の達成を主な目的とし、消費促進やインフラ投資の拡大、民間セクターの活性化を図ることが期待されている。11月に開催される全人代常務委員会終了後に、具体的な財政政策が発表される予定であり、国際社会や投資家はその内容に注目している。