【イスラエル発】イスラエルは10月5日、レバノンに拠点を置く親イラン民兵組織ヒズボラを対象とした空爆を拡大した。これにより、中東情勢の緊張がさらに高まり、紛争のエスカレーションが懸念されている。イスラエル国防軍(IDF)は、ヒズボラのインフラに対して攻撃を行ったと発表しており、特にレバノンの首都ベイルート南部が標的となった。また、同国の一部地域では、これまでにない激しい空爆が報告されている。
イスラエル、イランのミサイル攻撃への報復を検討
イスラエル国内でも、イランによる最近のミサイル攻撃に対する報復措置が検討されており、イスラエル紙「ハーレツ」は、IDFが「重大な」報復攻撃を準備していると報じている。特にイランからイスラエルに発射された約200発のミサイルが今回の対立を一層深刻化させており、イスラエル政府はその対応に迫られている。イスラエルの安全保障内閣のメンバーであるギドン・サール氏は5日夜、「複数の報復オプションが検討されているが、具体的な手段はまだ決定していない」と述べ、今後の対応に慎重な姿勢を示した。
ベイルートへの大規模な空爆、ヒズボラへの打撃
IDFの発表によると、10月4日から5日にかけての空爆では、ヒズボラの通信インフラや軍事施設が狙われ、特にベイルート南部地域に甚大な被害が出た。これは、2006年のレバノン戦争以来、イスラエルによる最大規模の空爆の一つとされている。さらに、イスラエルはこの数週間、ヒズボラの高位司令官を狙った攻撃を強化しており、特にポケットベルやトランシーバーといった通信機器を破壊し、組織の指揮系統に大きな打撃を与えている。
ヒズボラ側も報復としてイスラエルに対するミサイル攻撃を行い、イスラエル北部の都市で一部の被害が報告されている。双方の対立は日に日に激しさを増しており、レバノン国内でも紛争がさらに拡大する懸念が高まっている。
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イラン、報復に備える姿勢を強調
一方、イランもイスラエルの攻撃に備えた報復措置を取る方針を改めて強調している。イランのアラグチ外相は5日、シリアの首都ダマスカスでシリア大統領バシャール・アサドと会談後に記者団に対し、「イスラエルが攻撃を開始した場合、我々はより強力で厳しい対応を取る」と明言した。さらに、停戦に向けた取り組みについては「今はその詳細を議論する時期ではない」と述べ、停戦交渉には消極的な姿勢を示している。
イランは、広く代理勢力と見なされているパレスチナのイスラム組織ハマスやヒズボラを通じて、イスラエルとの直接的な対立を避けながらも、これらの組織を支援している。これにより、イランは中東全域での影響力を拡大し続けており、イスラエルとの対立は今後も続く可能性が高い。
紛争拡大のリスク、停戦の見通しは不透明
中東地域では、イスラエルとヒズボラ、さらにはハマスを含む他の武装勢力との紛争が拡大するリスクが高まっている。特に、イスラエルによるレバノン南部への地上侵攻が報告されており、これは2006年のレバノン戦争以来初めての大規模な地上作戦となる。
また、AP通信によると、5日の空爆では、レバノン北部のパレスチナ難民キャンプも初めて被害を受け、これにより紛争が新たな段階に突入する可能性がある。さらに、ハマスの幹部2名がレバノンで死亡したことも確認され、イスラエルによる攻撃はハマスにも及んでいる。
ヒズボラの指導者が標的に、ナスララ師の後継候補の安否不明
ここ数週間の空爆で、ヒズボラの多くの指揮所が破壊されている。特に3日夜のベイルート郊外への攻撃では、ヒズボラの指導者ナスララ師の後継候補とされるサフィエディン師が標的となった。現時点で、サフィエディン師が死亡したかどうかは確認されていないが、ロイター通信によれば、レバノンの治安当局者はサフィエディン師が4日以降、連絡が取れなくなっていると報じている。
この報道により、ヒズボラ内部ではさらなる緊張が高まっており、イスラエル軍との対立は今後も続くと見られている。
中東情勢の今後に注目
イスラエルとレバノン、さらにはイランを巻き込んだ紛争は、今後の中東情勢を大きく左右する重要な要素となっている。停戦の可能性が見えない中、地域全体での紛争拡大が懸念されており、国際社会の対応が注目されている。
イスラエル、ヒズボラ、そしてイランとの対立は、新たな局面を迎えており、今後の展開に目が離せない状況だ。