2024年9月24日14時13分 – 日本の上川陽子外務大臣は、ニューヨークで中国の王毅外相と会談し、深センで日本人学校に通う10歳の男子児童が登校中に刺殺された事件を受け、事実の解明と再発防止を強く求めました。この会談は、国連本部において日本時間で午前3時半頃から約1時間行われ、日中関係における重要な課題が議論されました。
深センでの痛ましい事件
深センで発生したこの事件では、日本人の男子児童が登校途中に刃物で襲われ、死亡するというショッキングな内容であり、日中両国に深刻な衝撃を与えました。上川外相は、冒頭で「日中関係の基礎は国民同士の交流にあるが、その交流に深刻な打撃を与える大事件が発生した」と述べ、日本側として事件の事実解明と再発防止を強く要請しました。
また、上川氏は日本人を含む在留外国人の安全確保の徹底を求め、事件が交流の障害とならないよう、中国政府に具体的な対応を求めました。
王毅外相の対応
これに対し、王毅外相は「今回の事件は偶発的な個別事案であり、法に基づいて適切に処理する」との立場を表明。王氏はさらに「事件を政治問題化せず、冷静かつ理性的に扱うべきである」と強調しました。中国外務省も事件を深刻に受け止めており、外交ルートを通じて両国の協議が継続されることとなりました。
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SNS上の反日投稿への懸念
さらに、上川外相は最近のSNSでの日中対立を煽る投稿が増加していることにも触れ、特に子供たちの安全に直結する反日的な投稿を厳しく取り締まるよう要請しました。「根拠のない悪質なSNS投稿は、子どもたちの安全を脅かすものであり、絶対に容認できない」とし、早急な対応を求めました。
福島第一原発の処理水問題
会談では、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出問題についても議論が行われました。上川外相は、中国側が反対していた日本産水産物の輸入再開について、「追加的なモニタリングを早期に実施し、規制撤廃に向けた進展を確実に示したい」と述べました。
一方、王毅外相は処理水を「核汚染水」と呼び、引き続き海洋放出に反対する立場を表明。中国が求めていた国際モニタリングと独立したサンプル採取を日本が約束通り実施することを求めました。王氏は「日本は国際的な合意を守るべきであり、枝葉末節の問題を生じさせないように」と、日本側への警戒を示しました。
領空侵犯とEEZ問題への懸念
さらに、上川外相は中国軍機による日本領空の侵犯や、日本の排他的経済水域(EEZ)に設置されたブイに関する問題についても深刻な懸念を示しました。中国側の活動が日本の主権や安全保障に与える影響を重く見ており、これらの問題に対する明確な対応を引き続き求めていく方針を強調しました。
今後の日中関係の見通し
今回の会談は、今年7月にラオスで行われた会談以来の再会であり、両外相は日中間の戦略的互恵関係を進展させるための協力が必要であることを再確認しました。王毅外相は、今後の日本と中国の協力の重要性に触れ、上川外相を北京に招待したいと述べる一方で、両国間の懸案事項についても引き続き協議していくことが確認されました。
上川外務大臣は、会談後の記者会見で「在留邦人、特に子どもたちの安全を確保するために、日中両国が協力し、さまざまなチャンネルを活用して具体策を講じていく」と述べ、安全確保に向けた日中間の連携を強調しました。